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日中もちょっぴり涼しくなって、半袖が珍しくなりました。でも駅前句会は熱い。19名者参加です。人数が多いので席題はなし。探題2題、3句選。

さて、高得点句は!
芋ふたつ仏壇にありて母の家
清水 順子 探題:芋
「芋」とくれば、何いもを想像しますか?『きごさい』によれば「俳句の場合、芋と言えば里芋をさす」とあります。さつまいもは?甘藷ですから「藷」なんですね。
母の家は農家なんでしょう。久しぶりに帰省してみると、取り立ての「芋」ふたつ、供えてあります。その先はお父さんか、お兄さんか。失われた暮らしでの人情が、ここ、田舎ではまだ息づいています。
寝返れば背(せな)すり抜ける秋の風
髙木 泰夫 探題:秋の風
いかにも寒そうです。寝返りをしたとたん、思わず「秋の風」を感じました。それくらいびっくりしたのですね。季節は巡る日本ならではのありがたさです。
新酒汲むパッと広がる大漁旗
髙山 芳典 探題:パッと広がる
「パッと広がる」とてもユニーク題が出ました。駅前句会では探題は季語と季語以外としています。季語以外は7音以内。これはめいっぱいです。この題からよくぞ、この句が生まれました。大漁の喜びと旗が目にも鮮やかです。
この椅子に何のこだわりうろこ雲
山口 良臣 探題:こだわり
「椅子」をどう読むかで、まったく句意が変わってきます。実際の椅子ではなくて、地位と読んだらどうでしょう。「うろこ雲」がまるで組織の中で反抗せずに流れていく、人々のように見えます。アッという読みが出る。これも句会ならではの醍醐味です。