2023年8月20日第75回句会を行いました

· 句会

荒れに荒れた台風7号も去って、一気に秋?と思いきや、今年はどうなっているんですかね?

そういえば今年の立秋は8月8日でした。年々暦と実際がずれていく気がします。

でもいつの間にか入道雲は消え、蝉はツクツクボウシにかわり、小さな秋が見え隠れ。

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今日の席題は「緑、グリーン」。久しぶりに新しい方もいらっしゃって、大いに盛り上がりました!

高得点句は! 

ねこじゃらしミドレンジャーは僕の叔父 

                 植田 かつじ           席題

「緑」でこう来ましたか!実際のミドレンジャーをご存知ですか?放映は1975年。ミドレンジャーは17歳の設定でした。だとしたら、今は還暦越え!長髪だった青年も白髪まじり。それがねこじゃらしとよく合っています。もちろん実際を知らなくても何となく戦隊もののヒーローだと分かりますよね。お盆の帰省中、久しぶりに会ったおじさん(叔父さんなので、両親より若い!)と戦隊ごっこかなにかで遊んでいるのでしょう。ねこじゃらしの原っぱで。田舎ならではの光景です。 かつじさん、堂々の最高点句です。

 

オクラ切る地球の中へ深々と    宮田 和典            探題:オクラ

オクラってあの歯ごたえと中のネバネバのとが絶妙です。オクラを切っているときのある種の爽快感。それをまるで地球の中へ深く入るようだと表現しました。俳句ならではのスケールの大きさです。また「オクラを切るとその断面は星型になります。そこからの連想では?」との指摘も!

 

夏風邪で緑の髪でやってくる    岡村 知昭            席題

これは問題句ですね!で、で、とたたみかけ、性急感が生まれています。最初の「で」が因果関係を示し、夏風邪と緑の髪を強引に結びつけました。それくらい重篤なのか?でもどことなく爽やかなのは、嬰児のことを緑児というように、緑が赤ん坊を新芽や若葉に象徴させたり、あっ実際に美しい黒髪をみどりの髪とも言ったりします。だからかな?

 

着歴がまだ切ってない西瓜から   岡野 直樹            探題:着歴

着歴ってわかりますか?着信履歴の略だそう。ってことはケ―タイに着信、つまり電話がかかってきたが、応答しなかったってことですよね。あとでケータイみたら、「おやっ、西瓜さんから電話あったんだ。何の用事かな?」ってことですよね。まだ切ってない、つまり切られてない西瓜だから、そんなことも可能かも?!切ってないと能動態だから、全くこの電話の持ち主目線ですよね。一体、西瓜は何を言いたかったのでしょう?!そう考えると笑いがこみ上げてきます。

 

熱中症警戒アラートでもカンナ   岡野 直樹            探題:カンナ

熱中症警戒アラートってなんかおどろおどろしい言葉ですよね。実際、命を守るにはこれくらい必要なのかもしれません。そんな酷暑の中でも力強く咲くカンナ。大きなその姿には凛とした気品があります。またカンナと言い切ったところにこの句の魅力があります。            さて、熱中症は夏の季語ではないか?という指摘もありました。晩夏の季語に暑気あたりがありますが、そんなもんじゃないです。日射病や熱射病なんかが近い?熱中症はまだ歳時記には載っていない新しい言葉です。でも立派な季語でしょう。アラートとついているので、季語としての役割は薄いとの意見もありました。カンナは秋の季語。もちろん季重なりでも句として成立していれば、何の問題もありません。皆さんはどう思われますか?