新緑の中、新しい方も3名も来てくださって、ますます快調です。

さて、本日の席題は「夏に入る」。高得点句は?!
酸っぱさに純も不純も夏蜜柑
髙山 芳典 探題:夏蜜柑
「酸っぱさ」という味覚に、「純(情)(粋)」や「不純」という、この場合は性格を取り合わせたところがユニーク。そこが評価を得ました。俳句ならではの楚辞です。筆者は「夏みかん酢つぱしいまさら純潔など 鈴木しづ子」を思い出しました。
きかん気をプールの底に置いてくる
高田 留美 探題:プール
こちらも「きかん気」という性格を、まるで物のように扱ったところが俳句的です。この句の主人公は一体幾つくらい?「きかん気」だから子供?いや、「置いてくる」という能動だから、自ら意識している。子供は自らを「きかん気」だとは意識しない。だから青年なのでは?と議論が巻き起こりました。
夏に入る合図は君の或る寝言
白爛 席題
いったいどんな「寝言」なのでしょう?。この「寝言」を「合図」に夏になったというのです。
「きごさい」には「夏に入る:二十四節気の一つ。陽暦の五月六日ごろ。暦のうえではこの日からが夏。実感からするといささか早い気もするが、もう夏に入りましたと定められると、目に入る景色も新しい夏の光を纏いはじめたように思える。」とあります。この家族では、このお約束が毎年恒例なのでしょう。
丸眼鏡にあう彼女の夏の海
松代 享子 探題:眼鏡
まず、題が「眼鏡」だったので、漢字を連ねると重くなるので「にあう」と工夫されています。作者の意図を汲むと「丸メガネ似合う彼女の夏の海」でしょう。
「彼女の」の「の」が効いています。例えば「丸メガネ似合う彼女と夏の海」だと景がまるっきり変わってしまいます。この句の「夏の海」は普通の「夏の海」ではないのです。「彼女の」ものです。彼女が見ている、ものにしている「夏の海」をまぶしそうに見つめる僕がいます。助詞一つで切ない句になりました。