2025年5月18日第94回句会を行いました

· 句会

新緑の中、新しい方も3名も来てくださって、ますます快調です。

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さて、本日の席題は「夏に入る」。高得点句は?!

酸っぱさに純も不純も夏蜜柑

髙山 芳典     探題:夏蜜柑 

「酸っぱさ」という味覚に、「純(情)(粋)」や「不純」という、この場合は性格を取り合わせたところがユニーク。そこが評価を得ました。俳句ならではの楚辞です。筆者は「夏みかん酢つぱしいまさら純潔など  鈴木しづ子」を思い出しました。

  

きかん気をプールの底に置いてくる

高田 留美     探題:プール

こちらも「きかん気」という性格を、まるで物のように扱ったところが俳句的です。この句の主人公は一体幾つくらい?「きかん気」だから子供?いや、「置いてくる」という能動だから、自ら意識している。子供は自らを「きかん気」だとは意識しない。だから青年なのでは?と議論が巻き起こりました。

夏に入る合図は君の或る寝言

白爛        席題

いったいどんな「寝言」なのでしょう?。この「寝言」を「合図」に夏になったというのです。

「きごさい」には「夏に入る:二十四節気の一つ。陽暦の五月六日ごろ。暦のうえではこの日からが夏。実感からするといささか早い気もするが、もう夏に入りましたと定められると、目に入る景色も新しい夏の光を纏いはじめたように思える。」とあります。この家族では、このお約束が毎年恒例なのでしょう。

丸眼鏡にあう彼女の夏の海

松代 享子     探題:眼鏡

まず、題が「眼鏡」だったので、漢字を連ねると重くなるので「にあう」と工夫されています。作者の意図を汲むと「丸メガネ似合う彼女の夏の海」でしょう。

「彼女の」の「の」が効いています。例えば「丸メガネ似合う彼女と夏の海」だと景がまるっきり変わってしまいます。この句の「夏の海」は普通の「夏の海」ではないのです。「彼女の」ものです。彼女が見ている、ものにしている「夏の海」をまぶしそうに見つめる僕がいます。助詞一つで切ない句になりました。